ヨーコとヒロシの日食観測

中国浙江省安吉皆既日食 (2009年7月22日)


7回目の皆既日食だったが、 46年ぶりに日本で見られる皆既日食ということで、昨年より大変なフィーバーとなった。去年はまだ国内で見ようと思っていたが、トカラ列島悪石島へのツアーは近ツーの独占でしかも超満員。抽選によるキャンセル待ちとのことで、予定は立たず、ヨーコは中国は厭だと言っているのを、何とかなだめて2年連続で中国へ行くことにした。 西鉄旅行が企画した羽田発4日間の安吉ツアーに申し込んだ。福島天文台の大野裕明氏が引率者である。
2月に天ガを見てすぐに申し込んだのに、しばらく何の連絡もなし。ひと月ほどして問い合わすと、すでに満員でキャンセル待ちだという。そんなバカなことが。 しばらくして、別のツアーが追加されたのでそれには入れたが、当初のホテルから別のホテルになったので、差額分がUPした。

今回は5月10日に富士フイルム西麻布本社で開かれた日食情報センターの勉強会に参加し、さらには5月17日に東京フォーラムであった大野氏の日食説明会も参加、かなり具体的な情報を得ることができた。日食情報センターの方は、第1部が初心者向けとあったので、少し遅れて出かけたところ、何と超満員で、予備の第二会場(大型TVで聴講)も 一杯で入り切れず、400名以上が全国から参加し、立ち見もままならず一杯だった。 やむなく最前列村山先生の車椅子のすぐ後ろの通路にスペースを見つけヨーコと二人で座り込んだ。西鉄旅行の方は同じツアーグループ内なので、余裕は十分、現地のホテル事情が判明した。 今回、多少ヤバかったのは、4月に発生した新型インフルエンザの国内流行の拡大事件。 あのまま広がると中国政府が日本からの入国を拒否する可能性があった。しかも、旅行会社は中止する場合があると言うだけで、何の補償もない。

7月20日(月)
成田出発と違って、羽田出発は歓迎するところ。1時間位で着けるのが魅力だ。羽田空港の国際線ターミナルは小さくて国内の地方空港のようだ。前にロシアに行った時にチャーター便で羽田から出発したのでまだ2回目。国際線の滑走路とターミナルを建設中であり、完成すればもっと便利になる。出発掲示板を見ると行き先は韓国と中国ばっかり。同時刻にソウル行きだけで3本もある。それにしてもよくこんなに本数が多いものだと感心したが、上海行きも3本あったので、コードシェア便だと判明し納得した。 今年は関東地方だけは梅雨明けしたものの、ずっと梅雨前線が居座っており上海付近から中国・山陰地方にかけて梅雨が続いていた。20日午後、韓国上空を通過して上海紅橋空港へ到着。バスにて杭州へ移動したが、天気は曇り、雨は降っていないが良くはない。杭州のホテルは華辰国際飯店、すぐ向かいにマルコポーロホテルがあり、次の日の昼食会場だった。

7月21日(火)
午前中のみ自由時間があり、西湖の湖岸を約2時間歩いて見学。おそらく日本人と思われる集団が翌日の皆既食の時間帯に撮影準備をしていた。太陽の方向、高度など、実際に望遠鏡や望遠カメラをずらりと並べていた。まさかそのまま場所取りをする訳でもなかろう。歴史的にも由緒あると思われる楼外楼の建物付近では、中国のTV局が中継車を止めて準備中だった。街の中には日食の関係ポスターはなく、平穏な感じ。 昼食後にバスにて観測地の大竹海度假村に移動。再び大野氏の説明会に参加。別に聴く必要はなかったけど、どこにも行くところ無し。観測地はこのホテルの敷地内で、翌日の下見をして場所を決めた。宿泊は16kmほど北へ行った安吉のホテル凱倫酒店。田舎のホテルだった。寝る前にカメラの点検、電池の充電。経過写真に古いオリンパスのデジカメを使うこととし、ボール紙でフィルターホルダーを作って準備した。

7月22日(水)
朝5時にモーニングコール。近くだがやむを得ない。しかし、天候は一番良くなかった。観測地へのバスが出る頃には、何と雨がパラパラ。何たる不運か。晴れるようにと祈りつつ、観測地到着と同時に撮影準備。しかし全天雲に覆われていて太陽すら見えない。機材の準備も身が入らず遅れ気味。今回は去年の経験を活かしてテントを持参した。シェルターのつもりだが、雨が降ったらカメラを避難させることもできる。 そろそろ第一接触という頃に、雲が少し薄くなり部分的に青空も見えるようになってきた。 もしかしたら晴れるかも知れない。8時20分の第一接触。直後に日食グラスでわずかに欠けた太陽を見た。いよいよ始まった。 空はうす雲が掛かっていたが何とか途中の経過も見えそう。ところが部分食を撮影すべきメインのデジカメが暴走してしまいシャッターが下りない。慌ててしまった。電源を切って入れ直してもAV(絞り優先)表示と--.?の表示のみ。なんの反応もなし。ヨーコはサブのフイルムカメラ担当だが、急遽これを貸してもらう。部分食を約5分おきにとると忙しい。すぐに第二接触。残念ながらダイヤモンドリングは見逃した。
皆既中はサイバーショットで動画撮影。たまたまヨーコが出発前に2台目のサイバーショット(1200万画素)を衝動買いしたので、2台とも皆既を写した。皆既時間は5分30秒と長い。前半および第3接触前には雲が薄くなり、コロナも見えていた。この間の様子はデジカメに録音されている。第3接触の前には、カメラのファインダーを通して、プロミネンスも見えた。ヨーコと代わってやろうとしていると、ダイヤモンドリングになった。残念ながら肉眼観測では少し出遅れてしまった。
例によって、皆既終了とともにため息とも歓喜ともつかない声が広がる。黒点の極小期でコロナが小さい上、内部コロナしか見えなかったが、まあ、一応見えたと言うことで、成功の部類だろう。 第4接触10:58にて切り上げて撤収。ホテルに戻って昼食をとる。気が付けば窓の外は激しい雨が降っていた。何とラッキーだったのか。日本の状況ではトカラ列島は豪雨、硫黄島は晴れ、上海は雨とのこと。

今回の機材:
①一眼レフ・フィルムカメラ:ペンタックスME+400mm望遠レンズ
②一眼レフ・デジカメ:ペンタックスistDS+300mmズームレンズ
③デジカメ:オリンパスCAMEDIA 35mm相当広角レンズ
④デジカメ:ソニーDSC T-5 ムービー114mm相当×1.5倍テレコンバーター
⑤デジカメ:ソニーDSC T-90 ムービー35mm相当広角


ところが、主機材の②が前述のように動作不良で放棄。4台を操作したが、ミスが目立った。今後の反省材料としたい。

★ミス1:デジカメ②の暴走で慌ててしまい。電源スイッチを切ったりしたが、電池を外して 冷静にリセットすれば復帰したかも知れない。
★ミス2:フィルムカメラの露出時間を変えて撮影する余裕がなく1/125秒の露出のみで、 フィルムのISO感度が200しかなくコロナは写らなかった。数秒間の露出は必要だった。
★ミス3:②がダメで急遽スナップ用の⑤を動員しムービー撮影したが、ズームを望遠に するのを忘れていた。ガイド撮影していたので、望遠でも十分追跡できた筈。広角で写したコロナはしょぼい。
★ミス4:連続写真にあてたオリンパス③だが、毎回の撮影時に電源を入れるが、三脚が 動いてしまうミス。電源投入後にズームを望遠にするのを忘れるミス。部分食の 光量変化に対応するフィルタの切り替えが出来ず適正露光が得られなかった。

結局、今回の日食は写真記録が全く不調に終わり、かろうじて目視による成果が得られたのみであった。ダイヤモンドリング の写真は有りません。


第1接触後の部分食

第2接触前の部分食

皆既中のコロナ(ムービーより)

うす雲の中で皆既中のコロナ

第3接触後の部分食

第4接触前の部分食